山梨県公立高校入試(社会)の特徴について考察しました【山梨県甲府市ライト学習塾】
2026/09/17
山梨県甲府市飯田にあるライト学習塾教室長の吉矢です。
、実際に入試問題を解いて山梨県公立高校入試制度について考察してみましたシリーズも最後になりました。その攻略方法や、私の感想をご覧になっていただければと思います。
今回は、山梨県公立高校入試の「社会」について考察します。
なお、問題の構成や出題される題材は年度によって変わります。この記事では、山梨県教育委員会が公表している令和8年度入試の分析資料と、私が複数年度の過去問を解いた感想を基に、社会の特徴と対策をまとめています。
山梨県公立高校入試「社会」の基本情報
令和8年度の社会は、100点満点・検査時間45分で実施されました。山梨県教育委員会の「令和8年度山梨県公立高等学校入学者選抜 学力検査結果活用ガイド」によると、受検者は3,009人、平均点は52.9点、最高点は98点、最低点は7点でした。過去5年間の平均点は、令和4年度が48.7点、令和5年度が51.5点、令和6年度が50.7点、令和7年度が50.8点、令和8年度が52.9点です。おおむね50点前後で推移しており、決して簡単な試験とはいえません。
また、令和9年度入試から、社会・数学・理科・英語の検査時間が45分から50分へ変更されます。出題内容や難易度は従来と同程度とされていますが、資料から情報を整理し、考えたことを適切に表現する時間を確保することが変更の目的とされています。受験年度によって検査時間が異なるため、過去問に取り組む際には、自分が受ける年度の時間に合わせて練習してください。
問題の特徴① 地理・歴史・公民から幅広く出題される
山梨県公立高校入試の社会では、地理・歴史・公民の3分野から幅広く出題されます。令和8年度も、世界や日本の地理、古代から現代までの歴史、政治・経済を含む公民に加え、3分野の知識を組み合わせて考える総合問題が出題されました。そのため、「歴史だけは得意だから大丈夫」「公民は入試直前に覚えればよい」といった勉強では、安定した点数を取ることが難しくなります。得意分野を得点源にすることは大切ですが、苦手分野をそのまま残すと、まとまった失点につながります。
まずは3分野の基礎を広く身につけ、抜けている部分を少しずつ深掘りする必要があります。
問題の特徴② 問題数と情報量が多い
社会は、理科と同じように解答する箇所が多く、時間配分が重要な教科です。用語を答える問題、選択問題、並べ替え、資料の読み取り、記述など、異なる形式の問題が次々に出てきます。完答で得点になる問題や、解答内容に応じて段階的に点数が与えられる問題もあります。
45分で多くの問題を処理するため、1問に長い時間を使うことはできません。問題文だけでなく、地図・グラフ・表・写真・年表などにも目を通す必要があり、実際に解いてみると、見た目以上に時間がかかります。令和9年度からは50分になりますが、5分増えたから時間配分を意識しなくてもよいわけではありません。その5分を、資料の確認や記述の見直しに使えるようにしたいところです。
問題の特徴③ 知識を覚えるだけでは解けない
社会は暗記教科と思われることがあります。もちろん、国名、地名、出来事、人物、制度、用語などの知識は必要です。しかし、山梨県公立高校入試では、覚えた言葉をそのまま答えるだけでなく、知識を使って資料を読み取り、理由や背景を考える問題が多く出題されます。
令和8年度の地理では、岩手県と東京都における工業の業種構成と変化を考える問題の正答率が32.9%でした。一方、九州地方の卸売業・小売業と人口の統計から読み取れることを表現する問題は、完答正答率が60.8%でした。
どちらも資料を扱う問題ですが、グラフから数字を見つけるだけでなく、地域の特色や変化と結びつけて判断する必要があります。公民では、契約についての問題は正答率81.1%、87.7%と高かった一方、間接金融の具体例を選ぶ問題は41.5%でした。用語を知っているだけでなく、「実際にはどのような仕組みなのか」まで理解しているかで差がついたと考えられます。
社会で求められているのは、知識の量だけではありません。覚えた知識同士を結びつけ、初めて見る資料や具体的な事例に当てはめる力も必要です。
問題の特徴④ 記述問題では背景や因果関係が問われる
社会の記述問題では、資料に書かれている言葉を抜き出すだけで答えられるとは限りません。
例えば令和8年度には、イエズス会が日本での布教活動に力を入れるようになった背景を説明する問題があり、無答率は30%を超えました。出来事や人物名を覚えていても、その出来事が起きた背景まで理解していなければ、説明することは難しくなります。
また、法人税率の引き下げが、人々の所得や所得税額にどのように影響するかを考察する記述問題では、3点の正答が14.6%、2点が8.0%、1点が3.7%で、無答率は38.2%でした。
この問題では、所得税と法人税を別々の用語として覚えるだけではなく、企業活動、人々の所得、税収の関係をつなげて考える必要があります。
社会の記述では、「何が起きたか」だけでなく、「なぜ起きたのか」「何がどのように影響したのか」を説明できるようにしておきたいところです。
問題の特徴⑤ 山梨県や時事的な題材が扱われる
山梨県教育委員会は、身近な地域である山梨に関する題材や、時事的な事項に関する題材を取り入れるよう配慮していると説明しています。令和8年度には「食料問題」をテーマに、世界の現状だけでなく、日本や山梨県の食料に関する動向や課題を、地理・歴史・公民の知識を使って考える総合問題が出題されました。
ただし、「最近のニュースに出てきた言葉を暗記すれば取れる」という意味での時事問題ばかりではありません。現在の社会で起きていることを題材にしながら、中学校で学んだ知識や資料の読み取り方を使って考える問題だと捉えた方がよいでしょう。
山梨県についても、県内の市町村名や特産品だけを覚えるのでは不十分です。農業、観光、人口、産業、交通、災害、環境などの特色を、日本全体や世界の動きと結びつけて考えることが重要です。
地元山梨のニュースに触れることは、入試対策になるだけでなく、自分が暮らす地域を理解することにもつながります。
事前の攻略ポイント① 3分野を偏りなく復習する
社会の入試対策では、まず地理・歴史・公民の基本事項を一通り復習しましょう。最初から細かい知識まで完璧にしようとすると、一つの分野に時間がかかり、ほかの分野へ進めなくなることがあります。まずは教科書や学校のワークの基本問題を使い、全体を広く一周することをおすすめします。その後、間違えた問題や説明できなかった内容を中心に、知識を深くしていきます。
社会は、習った時期が早い地理や歴史前半の内容を忘れていることが多い一方、公民は中学3年生の後半まで学習が続きます。受験直前に全範囲をまとめて覚えるのは大変です。中学1・2年生の内容は、できるだけ早く復習を始めましょう。
事前の攻略ポイント② 単語ではなく関係性で覚える
言葉を一つずつ独立した単語として覚えていると、必要な知識量が多く感じられ、資料問題や記述問題にも対応しにくくなります。地理では、場所・気候・産業・人口・交通を地図と結びつけます。例えば、「なぜその地域でその農業が盛んなのか」まで考えることで、複数の知識を一つのまとまりとして覚えられます。
歴史では、出来事を年号だけで覚えるのではなく、その前後の流れを年表にまとめましょう。「何が原因となり、誰が何を行い、社会がどう変化したのか」を整理すると、並べ替えや記述にも対応しやすくなります。
公民では、似た制度を表で比較すると効果的です。国会・内閣・裁判所の役割、衆議院と参議院の違い、直接税と間接税、市場経済と金融の仕組みなどを、自分の言葉で整理してみてください。
事前の攻略ポイント③ 資料問題はタイトルと単位から読む
グラフや表が出てきたら、すぐに数字だけを見るのではなく、まず資料のタイトル、調査した年、単位、出典、注釈を確認します。
同じように見える数字でも、実数なのか割合なのか、金額なのか人数なのかによって意味が変わります。また、複数の資料を比べる問題では、それぞれの資料から一つずつ特徴を見つけ、その共通点や違いを考える必要があります。
普段の学習から、「この資料から何がわかるか」を一文で書く練習をしましょう。答えを見て納得するだけでなく、どの数字や変化を根拠にしたのかまで確認することが大切です。
事前の攻略ポイント④ 記述は「根拠+結論」で書く
記述問題が苦手な場合は、初めから模範解答のような長い文章を書こうとする必要はありません。
まず、問題が求めているのが「理由」「特色」「変化」「目的」「影響」のどれなのかを確認します。次に、資料や自分の知識から根拠となる言葉を探し、結論につなげます。例えば、「雨が少ない」という資料があるなら、それだけで終わらせず、「雨が少ないため、ため池を利用した農業が行われる」のように、根拠と結果を結びつけます。
ライト学習塾が大切にしている「書く力」は、社会でも重要です。地図、年表、比較表、因果関係を自分で書くことで、覚えた知識が整理されます。また、資料から読み取った根拠を書き残すことで、自分の答えがどこから導かれたのかを確認できます。
事前の攻略ポイント⑤ ニュースを教科書の知識と結びつける
時事的な内容への対策として、難しい新聞記事を毎日すべて読む必要はありません。ニュースを見たときに、「これは地理・歴史・公民のどの内容と関係するか」を少し考えるだけでも効果があります。
選挙のニュースなら国会や地方自治、物価のニュースなら市場経済や金融、国際紛争なら地理や近現代史、自然災害なら地域の地形や防災と関連づけられます。
山梨県内のニュースについても、出来事を覚えるだけでなく、「なぜ山梨でこの問題が起きているのか」「県の産業や人口とどのような関係があるか」まで考えてみましょう。
ニュースを見ることを、新しい用語を増やすためだけではなく、教科書で学んだ知識を現実社会につなげる練習として活用してください。
本番の攻略ポイント① 最初に全体の構成を確認する
試験が始まったら、最初の1~2分で問題全体に目を通し、地理・歴史・公民・総合問題の位置と、記述問題の数を確認しておきましょう。
自分の得意分野から解く方法もありますが、解答欄を間違えやすい生徒は、基本的には問題の順番に進み、時間がかかりそうな問題だけを飛ばす方が安全です。
全体を見る目的は、詳しく問題を解くことではありません。「どこに時間がかかりそうか」を知り、試験全体の見通しを持つことです。
本番の攻略ポイント② 資料を全部読んでから考える
社会の問題では、問題文、資料、注釈、選択肢のそれぞれに必要な情報が分かれていることがあります。
先に自分の知識だけで答えを決めると、資料が示している内容とずれてしまう可能性があります。選択問題であっても、知っている言葉が含まれているだけで選ばず、資料と条件の両方に合っているかを確認しましょう。
「適切なもの」「適切でないもの」「資料から読み取れるもの」「資料と知識を使って答えるもの」では、求められている答えが違います。何を答えなければならないかを正確に捉えることが大切です。
本番の攻略ポイント③ 難しい記述は一度飛ばす
記述問題で答えがすぐに浮かばない場合は、印を付けて先へ進みましょう。一つの記述に何分も使い、後ろにある知識問題を解けなくなるのは避けたいところです。
最後に戻ったときは、白紙で出す前に、問題文の条件や資料中の言葉から使える要素を探してください。完全な答えが書けなくても、問題の意図に合った根拠や考え方を書けば、部分点につながる可能性があります。
ただし、関係のないことを長く書けばよいわけではありません。指定された言葉、資料の変化、問いの中心を確認し、短くても筋の通った答えを書くことを意識しましょう。
本番の攻略ポイント④ 残り時間を定期的に確認する
社会は、知っている問題ほど考え込みすぎることがあります。「もう少し考えれば思い出せそう」と一問に時間を使いすぎないようにしましょう。
大問が終わるごとに時計を確認し、予定より遅れている場合は、迷っている選択問題や記述を一度飛ばします。
見直しでは、問題番号と解答欄のずれ、漢字の間違い、指定された記号、答える個数、記述の主語と述語などを確認してください。難問を最初から考え直すより、まずは取れるはずだった問題のミスを防ぐことが優先です。
全体を通して
山梨県公立高校入試の社会は、地理・歴史・公民の広い知識に加え、地図・グラフ・表・写真・年表などの資料を読み取り、複数の知識を結びつけて考える力が求められます。
私が実際に問題を解いた感想としても、他の教科と比べて必要な知識量が多く、難しく感じやすい教科です。さらに、山梨県や時事的な事項を題材にするという特徴があり、教科書の内容を現実の社会と結びつける力も必要です。
だからこそ、受験直前に用語だけを一気に暗記するのではなく、地理は地図、歴史は年表、公民は比較表を使い、知識同士の関係を整理しながらコツコツと覚えていきましょう。
そして過去問に取り組む際には、点数だけを見るのではなく、知識が足りなかったのか、資料を読み違えたのか、問題の条件を見落としたのか、記述で因果関係を表現できなかったのかまで振り返ることが大切です。
社会の得点を伸ばすためには、覚えることと考えることの両方が必要です。知識を「単語」で終わらせず、図表や文章として自分の手で整理し、使える知識へ変えていきましょう。
ライト学習塾では、答えだけを暗記するのではなく、地図・年表・比較表を書いて知識を整理し、資料を根拠に自分の考えを書く学習を大切にしています。
山梨県公立高校入試の社会について、勉強の進め方や得点戦略にお悩みの場合は、ぜひご相談ください。
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