山梨県立考古博物館で山梨の歴史を体験しよう―縄文土器と古墳を訪ねて【山梨県甲府市ライト学習塾】
2026/10/08
山梨県甲府市飯田にあるライト学習塾教室長です。
これまで、山梨県立美術館、山梨県立文学館、山梨県立科学館と、山梨県内にある学びの施設をご紹介してきました。
今回ご紹介するのは、甲府市下曽根町にある山梨県立考古博物館です。
甲府市飯田にあるライト学習塾からは少し離れていますが、中央自動車道の甲府南インターチェンジの近くにあり、車で訪れやすい場所です。
山梨県立考古博物館には、独立したドメインのウェブサイトはありませんが、山梨県公式ホームページの中に、展示やイベントなどを案内する公式ページがあります。
検索する場合は、「山梨県立考古博物館」と入力すると見つけられます。
考古学とは何を学ぶもの?
「考古博物館」と聞くと、どのようなものを展示している場所なのか、少し分かりにくいかもしれません。
考古学とは、昔の人々が残した道具や建物の跡、墓、土器、石器などを調べ、人々がどのような生活をしていたのかを考える学問です。
文字で書かれた記録が残されていない時代であっても、地面の中から発見された物を調べることで、当時の暮らしを想像できます。
例えば、土器が見つかれば、
「何を入れるために使ったのだろう」
「どのような方法で作ったのだろう」
「なぜ、このような模様を付けたのだろう」
といった疑問が生まれます。
さらに、土器が見つかった場所や周囲の遺跡を調べることで、そこにどのような人々が暮らしていたのかを考えられます。
考古学は、見つかった物の名前や年代を覚えるだけではありません。残された証拠を基にして、過去の人々の生活を組み立てていく学問なのです。
縄文時代だけの博物館ではない
山梨県立考古博物館では、縄文土器や土偶が特に目を引きます。そのため、縄文時代を中心とした博物館という印象を受けるかもしれません。
しかし、実際には縄文時代だけを扱う施設ではありません。
常設展示では、旧石器時代の石器から始まり、縄文時代の土器や土偶、弥生時代の土器や木製農具、古墳から出土した副葬品、甲府城跡や鰍沢河岸跡から発見された資料など、明治時代までの山梨の歴史をたどることができます。
したがって、館内に縄文時代の展示が多く、周囲には古墳時代の遺跡があることは、時代が合っていないわけではありません。
旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代と、山梨で暮らした人々の長い歴史を、博物館と周辺の遺跡を通して学べる場所になっています。
歴史の授業では、それぞれの時代を別の単元として学びます。しかし、実際の歴史には単元ごとの区切り線が引かれていたわけではありません。
人々の生活や技術が少しずつ変わり、その積み重ねが次の時代につながっていきます。
複数の時代の資料を比べて見ることで、暮らしがどのように変化したのかを考えられます。
「縄文王国山梨」の土器を見る
山梨県や長野県を中心とする中部高地では、縄文時代に独特な文化が発達しました。
八ヶ岳周辺では石器の材料となる黒曜石が採れ、山梨県内からも優れた造形の縄文土器や土偶が数多く発見されています。「星降る中部高地の縄文世界」は日本遺産にも認定され、考古博物館が所蔵する資料の一部も、その構成文化財となっています。
縄文土器は、食べ物を煮たり、保存したりするための生活道具です。
ところが、実際の縄文土器を見ると、日用品とは思えないほど複雑な模様や立体的な飾りが付けられているものがあります。
なぜ、使いやすさだけを考えれば必要のない装飾を付けたのでしょうか。
そこには、当時の人々の美意識や願い、自然に対する考え方などが表れているのかもしれません。
正確な答えが分からないからこそ、実物を観察し、自分なりに考える面白さがあります。
2026年9月19日から11月23日までは、第43回特別展「中部高地に芽生えた水煙文土器とその周辺」が開催されています。
水煙文土器は、立ち上る煙や水しぶきのように見える、立体的で華やかな装飾を特徴とする縄文土器です。写真だけでなく、実際の大きさや立体感を見ながら、その造形を味わえる機会です。
博物館の周囲に広がる曽根丘陵公園
山梨県立考古博物館は、「甲斐風土記の丘・曽根丘陵公園」の中にあります。
この一帯には、弥生時代から古墳時代にかけての遺跡が数多く残されています。
代表的なものが、国指定史跡である甲斐銚子塚古墳と丸山塚古墳です。
甲斐銚子塚古墳は、4世紀後半に築かれたと考えられている前方後円墳です。発掘調査では青銅鏡、勾玉、管玉、鉄剣、鉄刀などが見つかっています。
教科書では、前方後円墳の形を上から見た図や写真で学びます。
しかし、実際の古墳の前に立ってみると、その大きさや高さ、造るために必要だった人手などを実感できます。
現代のような重機がない時代に、これほど大きな墓をどのように造ったのでしょうか。
なぜ、一人の人物のために多くの人が働いたのでしょうか。
その疑問から、古墳に葬られた人物がどれほど大きな力を持っていたのか、当時の山梨にどのような社会が作られていたのかを考えられます。
まず博物館で古墳から出土した物を見て、その後に実際の古墳を歩いてみると、展示物と遺跡を結び付けることができます。
歴史植物園から昔の暮らしを考える
曽根丘陵公園には古墳群だけでなく、歴史植物園や自然観察路、日本庭園なども整備されています。
歴史というと、土器や建物、戦いや人物に目が向きがちです。しかし、昔の人々の生活は、周囲の自然や植物とも深く関係していました。
植物は食料になるだけでなく、衣服、住居、道具、薬、染料などにも利用されてきました。
「この植物は、昔の人の生活にどのように使われたのだろう」
という視点で園内を歩くと、歴史と理科の両方に関係する学びになります。
博物館の展示室だけでなく、古墳や植物園を含めて公園全体を歩けることが、この場所の大きな特徴です。
秋は気温も落ち着き、園内を散策しやすい季節です。博物館で資料を見た後に、実際の遺跡や自然を訪ねてみるのもよいでしょう。
実際に作ることで古代の技術を知る
山梨県立考古博物館と付属施設の風土記の丘研修センターでは、講座や講演会のほか、古代の技術を体験するものづくり教室も開催されています。
2026年10月には縄文風陶器づくりや、縄文時代から続く技術の一つとされるアンギン編みの教室などが予定されています。年間を通して、土偶、勾玉、古代の道具、火起こしなどを題材にした体験も行われています。
完成した作品だけを見ると、昔の人が簡単に作っていたように感じるかもしれません。
しかし、実際に自分で作ってみると、
「形を整えるのが難しい」
「同じ模様を繰り返すには集中力が必要だ」
「火を起こすだけでも大変だ」
と気づきます。
この難しさを体験することで、限られた道具と材料を使って生活していた古代の人々の知恵や技術を、より身近に感じられるようになります。
歴史を暗記から想像へ
社会の歴史では、時代の名前、出来事、人物、用語など、覚えなければならないことがたくさんあります。
しかし、言葉だけを覚えていると、歴史がバラバラの知識になってしまいます。
博物館にある実物の資料を見て、
「誰が使ったのだろう」
「何のために作られたのだろう」
「今の道具とは何が違うのだろう」
と考えることで、教科書の言葉に具体的な姿が加わります。
見学した後には、最も気になった展示物を一つ選び、
- どの時代の物だったか
- 何に使われたと考えられているか
- どの部分が気になったか
- そこから昔の暮らしをどのように想像したか
を書いてみるのもおすすめです。
実物を観察し、分かったことと自分の考えを分けて書くことは、社会の記述問題にもつながります。
公式情報を確認してから訪れよう
山梨県立考古博物館の展示やイベントについては、山梨県公式ホームページ内の「山梨県立考古博物館」のページに掲載されています。
考古博物館、風土記の丘研修センター、曽根丘陵公園は同じ一帯にありますが、イベントによって会場が異なります。また、事前申込みが必要な体験や、開催日が限られている催しもあります。
訪れる前には「山梨県立考古博物館」で検索し、展示内容、イベントの日程、申込方法、会場などを確認してください。
山梨県立考古博物館では、縄文土器を見るだけでなく、旧石器時代から明治時代まで続く山梨の歴史をたどることができます。
館内で発掘された資料を見て、屋外で本物の古墳を歩き、植物や自然から昔の暮らしを想像する。
この秋は、山梨に暮らした人々の長い歴史を、実際に見て、歩いて、体験してみてはいかがでしょうか。
ライト学習塾教室長
吉矢武司
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ライト学習塾
住所 : 山梨県甲府市飯田4丁目11−22
グリーンハイツ阪本102
電話番号 : 055-225-4530
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